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国語学習者用デジタル教科書とは何か
 GIGAスクール構想の実現により、全国のほとんどの学校で1人1台端末環境が整備された。しかし、端末が整備されたとしても、どのような活用をするかが課題である。文部科学省が2020年に公開した「GIGAスクール構想の実現へ」によると、『各教科の学びを深める・教科の本質に迫る』ような次のステップへの活用が広がることが期待されている(図1)。教科によっては、デジタル教科書や連動しているデジタル教材、さらに周辺のICT機器の活用を通して、このような活用実践は、全国で見られるだろう。
図1:各教科での活用イメージ
図1:各教科での活用イメージ
さて、学習者用デジタル教科書とは何か
 学校教育法等の一部を改正する法律(平成30年法律第39条)が2019年4月1日から施行され、教科書の内容を記録した電磁的記録である教材(デジタル教科書)が教科書として認められるようになった。もちろん、これはデジタル教科書が紙の教科書と同様に、教科書を使っていると「見なされるようになった」というだけのことで、全国の学校から紙の教科書が消えることを意味してはいない。
 文部科学省が2020年に公開した「教育の情報化に関する手引(追補版)」によると、デジタル教科書は、大型提示装置などで主に教師が提示用で使う「指導者用デジタル教科書」と、個々の端末で主に児童生徒が学習用で使う「学習者用デジタル教科書」の2種類がある(図2)。先の法律の話は、1人1台端末環境で使う学習者用デジタル教科書が対象である。「学習者用デジタル教科書」の範囲は、紙の教科書をデジタルデータにした箇所を指すのだが、実際は、学習者用デジタル教材や大型提示装置などの周辺のICT機器と連携して活用していくことになる。
図2:紙の教科書や学習者用デジタル教科書等の概念図
図2:紙の教科書や学習者用デジタル教科書等の概念図
 一般社団法人教科書協会が2019年に公開した「学習者用デジタル教科書ガイドブック」によると、学習者用デジタル教科書とデジタル教材の活用においては、文字色・背景色の変更、ふりがな表示、リフロー機能、音声読み上げなど、紙の教科書と違い、児童生徒の実態や状況に応じたカスタマイズが可能となる(図3)。このように、教科書の内容へのアクセスを容易にできることは、デジタル教科書の大きな強みである。
図3:文字色・背景色の変更、ふりがな表示、リフロー機能、音声読み上げ
図3:文字色・背景色の変更、ふりがな表示、リフロー機能、音声読み上げ
 本プロジェクトでは、光村図書の国語教科書及び国語学習者用デジタル教科書を実践や研究の題材に取り上げている。特に、本Webサイトの指導案や実践事例でたびたび登場する「本文抜き出し機能」(マイ黒板)は、教科書画面から直接本文や挿絵・写真を簡単に抜き出して、自分の考えをまとめることができる「本文抜き出し機能」のことである。
学習者用デジタル教科書の活用によって、子どもたちの学び方がどのように広がり、何が効果として表れてくるのかを実践を通して追究し、ここに報告していきたいと考えている。
 光村図書の国語学習者用デジタル教科書・デジタル教材の詳しい機能等については、下記のWebサイトを参照されたい。ここでは、本文抜き出し機能(マイ黒板)の他、デジタルワークシート(ワーク)などの詳しい説明が掲載されている。

○光村図書のデジタル教科書&デジタル教材 https://www.mitsumura-tosho.co.jp/2020s_digital/index.html

(中川一史・「国語と情報教育研究プロジェクト」総括)

【参考文献】